ネット営業の遠山行政書士事務所

岐阜県中津川市蛭川2244-2

メニュー・料理などの食品表示について景品表示法のガイドライン

契約トラブルを無くして顧客満足度の向上を

2013年にはレストランやホテルのメニューや食品に関する偽装表示の事例が相次ぎ、食品表示について混乱が生じました。

その対策として、平成26年3月28日に消費者庁より「メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方について」というガイドラインが公表されました。

メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方について
(消費者庁へのリンク)

このガイドラインでは、料理のメニューや食品の表示については、社会常識や、用語等の一般的意味、社会的に定着していると認められる基準などを考慮し、実際のものとその表示から受ける一般消費者の印象・認識との間に差が生じる可能性が高いといえるかを個別の事案ごとに判断するとされています。

つまり、世間での認識の移り変わりによって、表示の許容範囲は変わりうるものなので、現時点での食品に関する適正表示の基準を示し、一般消費者の認識に近いところで判断するということのようです。

 

景品表示法上の「不当表示」の対象となるのは「優良誤認表示」と「有利誤認表示」と「特定の商品・役務について内閣総理大臣が指定(告示)した不当表示」の3つです。

「優良誤認表示」(第4条第1項第1号)とは、商品・サービスの品質や内容等について、実際よりも、著しく優良であると示す不当表示です。

「有利誤認表示」(第4条第1項第2号)とは、価格や取引条件等に関して、実際よりも、著しく有利であると示す不当表示です。

「優良誤認表示」と「有利誤認表示」の両方とも、表示に「著しい」誇張表現があることが要件となっています。(「著しく」までは至らない誇張表現は許容範囲となります。)

この「著しい」誇張表現について、どの程度から不当表示に該当するのかは、表示の受け手である一般消費者に、「著しく優良(有利)」と認識されるか否かという観点から判断することになります。また、「著しく」とは、表示の誇張の程度が社会一般に許容される程度を超えて、一般消費者による商品・サービスの選択に影響を与える場合とされています。

事業者が商品・役務の供給の際に顧客を誘引するために利用するあらゆる表示が景品表示法の対象であり、容器・包装上のものだけではなく、パンフレット、説明書面、ポスター、看板、インターネットをはじめとして、対象範囲はあらゆるものに及びます。口頭によるものも表示に該当します。したがって、店内・店頭のメニューや料理名の表示、陳列物、説明も表示に該当し、景品表示法の対象となります。

事業者が不当表示を行った場合には、消費者庁長官や都道府県による調査やそうした行為の差し止めなどの措置命令や指示を受ける場合があります。

 

食品の不当表示(優良誤認)の問題となる場合

優良誤認表示に当たるか否かについては、実際のものとその表示から受ける一般消費者の印象・認識との間に差が生じて、その表示が商品・役務の内容について著しく優良であると示すものといえるか否かによって判断されます。

具体的には、以下のように判断されます。

(1)その料理や食材に関する社会常識や、用語等の一般的意味、社会的に定着していると認められるJAS法等を含めた他法令等における定義・基準・規格などを考慮し、表示された特定の食材(A)と実際に使用されている食材(B)とが異なるといえる場合において、

(2)その料理の性質、その料理や食材に関する一般消費者の知識水準、その料理や食材の取引の実態、メニュー等における表示の方法、表示の対象となる内容などを考慮し、表示された特定の食材(A)と実際に使用されている食材(B)が異なることを一般消費者が知っていたら、その料理に惹きつけられることは通常ないであろうと認められる程度に達する誇大表示といえるとき

上記に該当する表示があれば、優良誤認の不当表示と判断され、行政による措置命令の対象となります。

これらを踏まえ、平成26年3月28日に消費者庁が公表した「メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方について」のガイドラインより具体例を以下に抜粋します。

 

肉類に関する不当表示例

<例>
飲食店において、牛の成形肉を焼いた料理のことを「ビーフステーキ」、「ステーキ」と表示してもよいか?
成形肉とは、牛の生肉、脂身、内臓等に酵素添加物や植物たん白等を加えるなどして人工的に結着し、形状を整えたもの。結着肉、圧着肉ともいわれる。

<説明>
これは問題となります。
料理名として「ビーフステーキ」、「ステーキ」と表示した場合、この表示に接した一般消費者は、牛の生肉の切り身を焼いた料理と認識すると考えられます。

このため、牛の成形肉を焼いた料理について、「ビーフステーキ」、「ステーキ」と表示することは、一般消費者を誤認させるおそれがあるものといえます。 。

したがって、実際には、牛の成形肉を使用しているにもかかわらず、あたかも、牛の生肉の切り身を焼いた料理であるかのように示す表示は、景品表示法上問題となります。

このため、牛の成形肉を焼いた料理を「ビーフステーキ」、「ステーキ」と表示する場合には、あわせて、例えば、「成形肉使用」、「圧着肉を使用したものです。」等と料理名の近傍又は同一視野内に明瞭に記載するなど、この料理の食材が成形肉ではない牛の生肉の切り身であると一般消費者に誤認されないような表示にする必要があります。

 

<例>
飲食店において、牛脂注入加工肉を焼いた料理のことを「霜降りビーフステーキ」、「さし入りビーフステーキ」と表示してもよいか?

<説明>
これは問題となります。
「霜降りビーフステーキ」、「さし入りビーフステーキ」と表示した場合、この表示に接した一般消費者は、その料理のことを、一定の飼育方法により脂肪が細かく交雑した状態になった牛の生肉の切り身を焼いた料理であると認識すると考えられます。

一方、牛脂注入加工肉は、牛脂に、水、水あめ、コラーゲン、植物性たん白、pH調整剤、酸化防止剤、増粘多糖類等を混ぜ合わせたものを「インジェクション」という注射針が針山になったような機械により、牛肉に注入し、人工的に霜降り状の肉質に変質させ、形状を整えたものであり、「インジェクション加工肉」等ともいわれるものです。

このため、牛脂注入加工肉を焼いた料理について、「霜降りビーフステーキ」、「さし入りビーフステーキ」と表示すると、景品表示法上問題となります。

 

<例>
飲食店において、牛脂注入加工肉を焼いた料理のことを「ビーフステーキ」、「ステーキ」と表示することは景品表示法上問題となるか?

<説明>
これは問題となります。
「ビーフステーキ」、「ステーキ」と表示した場合、前述の説明のとおり、この表示に接した一般消費者は、牛脂注入等の加工をしていない牛の生肉の切り身を焼いた料理であると認識するものと考えられます。

したがって、実際には、牛脂注入加工肉を使用しているにもかかわらず、あたかも、牛の生肉の切り身を焼いた料理であるかのように示す表示は、景品表示法上問題となります。

 

<例>
飲食店のメニューに「国産和牛のステーキ」と表示していますが、実際には、国産和牛ではなく、オーストラリア産の牛肉を使用しています。景品表示法上問題となるか?

<説明>
これは問題となります。
和牛ではない牛肉を「和牛」と表示することや、国産でないオーストラリア産の牛肉を「国産」と表示することは、実際のものと異なるものを表示していることになります。

したがって、和牛でないものを「和牛」と表示したり、国産でないものを「国産」と表示したりすると、景品表示法上問題となります。

 

<例>
飲食店のメニューに「××地鶏のグリル」と表示していますが、実際には、××地鶏ではなく、単なる国産鶏肉を使用しています。景品表示法上問題となるか?

<説明>
これは問題となります。
「××地鶏のグリル」との表示から、一般消費者は、「××地鶏」を使用した料理が提供されると認識するものと考えられます。このため、××地鶏以外の鶏肉を使用しているにもかかわらず、「××地鶏のグリル」と表示することは、実際のものと異なる表示をしていることになります。したがって、このような表示は、景品表示法上問題となります。

 

<例>
飲食店のメニューに「鴨南蛮」と表示していますが、実際には、合鴨肉を使用しています。景品表示法上問題となるか?

<説明>
これは問題となりません。
一般的な料理の名称として確立しているものであって、かつ、その食材がその料理に現に広く使われていることが社会的に定着している場合など、一般消費者が、その料理等の選択において、それらの食材の違いに通常影響されないと認められる場合には、その料理の名称を単に表示するだけで直ちに景品表示法上問題となるものではありません。したがって、この場合には、料理の名称として、単に「鴨南蛮」と表示することで、直ちに景品表示法上問題となるものではありません。

一方、例えば、「鴨南蛮」との表示に加えて、メニューや店内の表示において、「マガモを使った」、「希少な鴨肉を使用」、「高級鴨肉を使用」などと使用している材料を強調した表示をしているにもかかわらず、これらが実際とは異なる場合には、景品表示法上問題となります。

 

魚介類に関する不当表示例

<例>
飲食店で提供する料理の材料としてブラックタイガーを使用していますが、クルマエビを使用している旨をメニュー等に表示しても景品表示法上問題はあるか?

<説明>
これは問題となります。
ブラックタイガーとクルマエビとは異なる魚介類であり、ブラックタイガーとクルマエビが同じものであるとは一般消費者に認識されていないと考えられますので、クルマエビではないブラックタイガーを料理の材料として使用しているにもかかわらず、クルマエビを使用している旨をメニュー等に表示することは、実際のものと異なるものを表示していることになります。したがって、このような表示は、景品表示法上問題となります。

 

<例>
飲食店で提供する料理の材料としてアメリカンロブスター(ザリガニのような大きなはさみのあるもの)を使用していますが、イセエビを使用している旨をメニュー等に表示しても景品表示法上問題あるか?

<説明>
これは問題となります。
アメリカンロブスターとイセエビとは異なる魚介類でありアメリカンロブスターとイセエビが同じものであるとは一般消費者に認識されていないと考えられますので、イセエビではないアメリカンロブスターを料理の材料として使用しているにもかかわらず、イセエビを使用している旨をメニュー等に表示することは、実際のものと異なるものを表示していることになります。したがって、このような表示は、景品表示法上問題となります。

 

<例>
飲食店で提供する料理の材料として外国産のオーストラリアミナミイセエビ(ザリガニのような大きなはさみのないもの)を使用していますが、伊勢志摩地方の風景写真とともに、イセエビを使用している旨をメニュー等に表示しても景品表示法上問題ないか?

<説明>
これは問題となります。
飲食店において、伊勢志摩地方の風景写真とともに、イセエビを使用している旨の表示から、一般消費者は、その飲食店において提供される料理には、伊勢志摩産のイセエビが使用されているものと認識すると考えられます。
したがって、伊勢志摩産のイセエビではない外国産のオーストラリアミナミイセエビを料理の材料として使用しているにもかかわらず、このような表示をすると、景品表示法上問題となります。

 

<例>
飲食店で提供する料理の材料としてバナメイエビを使用していますが、シバエビを使用している旨をメニュー等に表示しても景品表示法上問題ないか?

<説明>
これは問題となります。
バナメイエビとシバエビとは異なる魚介類であり、バナメイエビとシバエビが同じものであるとは一般消費者に認識されていないと考えられますので、シバエビではないバナメイエビを料理の材料として使用しているにもかかわらず、シバエビを使用している旨をメニュー等に表示することは、実際のものと異なるものを表示していることになります。したがって、このような表示は、景品表示法上問題となります。

 

<例>
飲食店で提供する料理の材料として赤西貝を使用していますが、サザエを使用している旨をメニュー等に表示しても景品表示法上問題ないか?

<説明>
これは問題となります。
赤西貝とサザエとは異なる魚介類であり、赤西貝とサザエが同じものであるとは一般消費者に認識されていないと考えられますので、サザエではない赤西貝を料理の材料として使用しているにもかかわらず、サザエを使用している旨をメニュー等に表示することは、実際のものと異なるものを表示していることになります。したがって、このような表示は、景品表示法上問題となります。

 

<例>
飲食店で提供する料理の材料としてロコ貝を使用していますが、アワビを使用している旨をメニュー等に表示しても景品表示法上問題ないか?

<説明>
これは問題となります。
ロコ貝とアワビとは異なる魚介類であり、ロコ貝とアワビが同じものであるとは一般消費者に認識されていないと考えられますので、アワビではないロコ貝を料理の材料として使用しているにもかかわらず、アワビを使用している旨をメニュー等に表示することは、実際のものと異なるものを表示していることになります。したがって、このような表示は、景品表示法上問題となります。

 

<例>
飲食店で提供する料理の材料として、房総地方の風景写真とともに、房総あわびを使用している旨をメニュー等に表示していますが、実際には、北海道産のエゾアワビを使用しています。景品表示法上問題となるか?

<説明>
これは問題となります。
房総地方の風景写真とともに、房総あわびを使用している旨の表示から、一般消費者は、房総地域で採れたアワビを使用した料理が提供されると認識するものと考えられます。このため、北海道産のエゾアワビを使用しているにもかかわらず、房総あわびを使用している旨をメニュー等に表示することは、実際のものと異なる表示をしていることになります。したがって、このような表示は、景品表示法上問題となります。

 

<例>
飲食店で提供する料理の材料としてサーモントラウトを使用していますが、キングサーモンを使用している旨をメニュー等に表示しても景品表示法上問題あるか?

<説明>
これは問題となります。
料理の材料としてキングサーモンを使用している旨のメニュー等の表示から、一般消費者は、その料理にはキングサーモンが使用されているものと認識すると考えられます。また、キングサーモンとサーモントラウトは、いずれもサケ科サケ属に分類される魚ですが、それぞれ異なる魚介類であり、一般消費者においても、キングサーモンとサーモントラウトとは異なるものと認識しているものと考えられます。

したがって、料理の材料としてキングサーモンを使用している旨を表示しながら、実際には、サーモントラウトを使用している場合には、景品表示法上問題となります。

一方、前述のとおり、一般的な料理の名称として確立しているものであって、かつ、その食材がその料理に現に広く使われていることが社会的に定着している場合など、一般消費者が、その料理等の選択において、それらの食材の違いに通常影響されないと認められる場合には、その料理等の名称を単に表示するだけで直ちに景品表示法上問題となるものではありません。
したがって、一般的な料理の名称として確立している「サケ弁当」、「サケおにぎり」、「サケ茶漬け」の材料として、一般に「さけ」、「サーモン」として販売されているものを使用している場合には、単に「サケ弁当」、「サケおにぎり」、「サケ茶漬け」と表示することで、直ちに景品表示法上問題となるものではありません。

「アレルギー物質を含む食品に関する表示について」(平成25年9月20日、消食表第257号 別添2の20頁)では、いわゆる一般に「さけ」として販売されているものは、サケ科のサケ属、サルモ属に属するもので、陸封性を除いたものとしています。

 

<例>
飲食店で提供する料理の材料として日高産キングサーモンを使用している旨をメニュー等に表示していますが、実際には、ニュージーランド産のキングサーモンを使用しています。景品表示法上問題となるか?

<説明>
これは問題となります。
日高産キングサーモンを使用している旨の表示から、一般消費者は、北海道日高地域で採れたキングサーモンを使用した料理が提供されると認識するものと考えられます。このため、ニュージーランド産のキングサーモンであるにもかかわらず、日高産キングサーモンを使用している旨をメニュー等に表示することは、実際のものと異なる表示をしていることになります。したがって、このような表示は、景品表示法上問題となります。

 

<例>
飲食店で提供する料理の材料として駿河湾産の魚を使用している旨をメニュー等に表示していますが、実際には、駿河湾産の魚だけでなく、駿河湾産以外の魚も使用しています。景品表示法上問題となるか?

<説明>
これは問題となります。
駿河湾産の魚を使用している旨の表示から、一般消費者は、駿河湾で水揚げされた魚のみを使用した料理が提供されると認識するものと考えられます。このため、駿河湾産以外の魚も使用しているにもかかわらず、駿河湾産の魚を使用している旨をメニュー等に表示することは、実際のものと異なる表示をしていることになります。したがって、このような表示は、景品表示法上問題となります。

 

<例>
飲食店のメニューとして「鮮魚のムニエル」と表示していますが、このほか特に使用している魚の新鮮さを強調した表示はしていません。実際には、解凍した魚を使用していますが、景品表示法上問題となるか?

<説明>
これは問題となりません。
「鮮魚」との表示から一般消費者が抱く認識・期待は様々であると考えられますが、一般的には、単に「鮮魚」との表示から、一般消費者はその飲食店において提供される料理において使用される魚が新鮮なものであると認識するものと考えられますので、解凍した魚をその料理に使用している場合に「鮮魚」と表示しても、このことによって直ちに景品表示法上問題となるものではありません。

しかしながら、例えば、「鮮魚」という文言に加えて、又はこれに替えて、メニューや店内の表示において、「港で採れたて」、「今朝市場で買い付けた」などと使用している魚の新鮮さについて強調した表示をすると、あたかも、通常の方法で鮮度が維持された魚よりも新鮮な魚を使用しているかのように一般消費者に認識されると考えられます。
したがって、このような表示をしていながら、実際には、表示された事実とは異なる場合(例えば、「港で採れたて」や「今朝市場で買い付けた」ではない場合)には、景品表示法上問題となります。

 

<例>
飲食店で提供する料理の材料としてキャビアを使用している旨をメニュー等に表示していますが、実際には、ランプフィッシュ卵の塩漬けを使用しています。景品表示法上問題となるか?

<説明>
これは問題となります。
キャビアは、一般的に、チョウザメ類の卵巣から薄膜を取り除き、卵を粒に分離して洗浄した上で塩蔵するなどの加工を施した食品であるとされています。料理の材料としてキャビアを使用している旨の表示から、一般消費者は、このような食品が使用されていると認識するか、少なくとも「キャビア」とは呼べないものが使用されているとは認識しないものと考えられます。このため、ランプフィッシュ卵を使用しているにもかかわらず、キャビアを使用している旨をメニュー等に表示することは、実際のものと異なる表示をしていることになります。したがって、このような表示は、景品表示法上問題となります。

 

<例>
飲食店で提供する料理の材料としてカラスミを使用している旨をメニュー等に表示していますが、実際には、サメやタラの卵を使用したいわゆるカラスミ風の食材を使用しています。景品表示法上問題となるか?

<説明>
これは問題となります。
カラスミを使用している旨の表示から、一般消費者は、ボラの卵巣から作られたカラスミを使用した料理が提供されるものと認識するか、少なくとも使用されているものがいわゆるカラスミ風の食材であるとは認識しないと考えられます。このため、カラスミ風の食材を使用しているにもかかわらず、カラスミを使用している旨をメニュー等に表示することは、実際のものと異なる表示をしていることになります。したがって、このような表示は、景品表示法上問題となります。

 

<例>
飲食店で提供する料理の材料としてフカヒレを使用している旨をメニュー等に表示していますが、実際には、人工フカヒレを使用したいわゆるフカヒレ風の食材を使用しています。景品表示法上問題となるか?。

<説明>
これは問題となります。
フカヒレを使用している旨の表示から、一般消費者は、サメのヒレから作られたフカヒレを使用した料理が提供されるものと認識するか、少なくとも使用されているものがいわゆるフカヒレ風の食材であるとは認識しないと考えられます。このため、フカヒレ風の食材を使用しているにもかかわらず、フカヒレを使用している旨をメニュー等に表示することは、実際のものと異なる表示をしていることになります。したがって、このような表示は、景品表示法上問題となります。

 

<例>
飲食店で提供する料理の材料として岩海苔を使用している旨をメニュー等に表示していますが、実際には、養殖した黒海苔を使用しています。景品表示法上問題となるか?。

<説明>
これは問題となります。
岩海苔を使用している旨の表示から、一般消費者は、岩礁等に自生するのりを原材料とした食品のりを使用した料理が提供されると認識するものと考えられます。このため、養殖した黒海苔を使用しているにもかかわらず、岩海苔を使用しているかのように表示することは、実際のものと異なる表示をしていることになります。したがって、このような表示は、景品表示法上問題となります。

 

農産物に関する不当表示例

<例>
飲食店のメニューに「△△(地域名)野菜使用」と表示していますが、実際には、△△(地域名)野菜だけでなく、それ以外の野菜を多く使用しています。景品表示法上問題となるか?。

<説明>
これは問題となります。
「△△(地域名)野菜使用」との表示から、一般消費者は、△△(地域名)野菜のみが使用されている、又は△△(地域名)で生育・収穫された野菜のみが使用されていると認識するか、少なくとも使用している野菜の多くが△△(地域名)野菜か△△(地域名)で生育・収穫された野菜であると認識するものと考えられます。
したがって、「△△(地域名)野菜使用」との表示をしていながら、実際には、△△(地域名)野菜や△△(地域名)で生育・収穫された野菜を使用していなかったり、使用している野菜の多くがこれら以外の野菜であったりする場合には、景品表示法上問題となります。

 

<例>
飲食店で提供する料理の材料として九条ねぎを使用している旨をメニュー等に表示していますが、実際には、一般的なねぎを使用しています。景品表示法上問題となるか?

<説明>
これは問題となります。
九条ねぎを使用している旨の表示から、一般消費者は、一般的なねぎとは異なる「九条ねぎ」という種類・品種のねぎを使用した料理が提供されると認識するものと考えられます。このため、一般的なねぎを使用しているにもかかわらず、九条ねぎを使用している旨をメニュー等に表示することは、実際のものと異なる表示をしていることになります。したがって、このような表示は、景品表示法上問題となります。

 

<例>
飲食店で提供する料理の材料としてフランス産の栗を使用している旨をメニュー等に表示していますが、実際には、中国産の栗を使用しています。景品表示法上問題となるか?

<説明>
これは問題となります。
フランス産の栗を使用している旨の表示から、一般消費者は、フランスで採れた栗を使用した料理が提供されると認識するものと考えられます。このため、中国産の栗であるにもかかわらず、フランス産の栗を使用している旨をメニュー等に表示することは、実際のものと異なる表示をしていることになります。したがって、このような表示は、景品表示法上問題となります。

 

<例>
飲食店で提供する御飯について「山形県産はえぬき使用」とメニュー等に表示していますが、実際には、山形県産の品種のブレンド米を使用しています。景品表示法上問題となるか?

<説明>
これは問題となります。
「山形県産はえぬき使用」との表示から、一般消費者は、山形県で生産された「はえぬき」という品種のお米のみを使用した御飯が提供されると認識するものと考えられます。このため、山形県産の品種のブレンド米を使用しているにもかかわらず、「山形県産はえぬき使用」と表示することは、実際のものと異なる表示をしていることになります。したがって、このような表示は、景品表示法上問題となります。

 

<例>
飲食店で提供するサラダの材料として有機野菜を使用している旨をメニュー等に表示していますが、実際には、一部の野菜は有機野菜ではありません。景品表示法上問題となるか?

<説明>
これは問題となります。
サラダの材料として有機野菜を使用している旨の表示から、一般消費者は、有機野菜のみを使用したサラダが提供されると認識すると考えられます。このため、有機野菜以外の野菜も使用しているにもかかわらず、サラダの材料として有機野菜を使用している旨をメニュー等に表示することは、実際のものと異なる表示をしていることになります。したがって、このような表示は、景品表示法上問題となります。

 

小麦粉、乳製品、飲料に関する不当表示例

<例>
飲食店で提供する料理として「自家製パン」と表示していますが、実際には、市販品のパンを提供しています。景品表示法上問題となるか?

<説明>
これは問題となります。
「自家製パン」との表示から、一般消費者は、一般的には、その店舗で一から丁寧に作り上げたパンが提供されていると認識するものと考えられます。このため、市販品のパンが使用されているにもかかわらず、「自家製パン」と表示することは、実際と異なる表示をしていることになります。したがって、このような表示は、景品表示法上問題となります。

 

<例>
飲食店で提供する料理の材料として手打ち麺を使用している旨をメニュー等に表示していますが、実際に使用しているのは、機械打ちによる麺で、手作業は加わっていません。このような表示は景品表示法上問題となるか?

<説明>
これは問題となります。
手打ち麺を使用している旨の表示から、一般消費者は、機械打ちによる麺で、手作業の加わっていないものが提供されるとは認識しないものと考えられます。このため、機械打ちによる麺で、手作業が加わっていないものが使用されているにもかかわらず、手打ち麺を使用している旨をメニュー等に表示することは、実際と異なる表示をしていることになります。したがって、このような表示は、景品表示法上問題となります。

 

<例>
飲食店で提供する料理の材料として生クリームを使用している旨をメニュー等に表示していますが、実際には、牛の乳を原料としておらず、植物油を泡立ててクリームと似たような形状と色にしたホイップクリームを使用しています。景品表示法上問題となるか?

<説明>
これは問題となります。
生クリームを使用している旨の表示から、一般消費者は、生乳、牛乳又は特別牛乳から乳脂肪分以外の成分を除去したもの、又は少なくとも牛の乳を原料として作られたものが提供されると認識するものと考えられます。このため、牛の乳を原料としておらず、植物油を泡立ててクリームと似たような形状と色にしたホイップクリームを使用しているにもかかわらず、生クリームを使用している旨をメニュー等に表示することは、実際のものと異なるものを表示していることになります。したがって、このような表示は、景品表示法上問題となります。

<例>
飲食店で提供する料理の材料としてカマンベールチーズを使用している旨をメニュー等に表示していますが、実際には、カマンベールチーズ以外のチーズも使用しています。景品表示法上問題となるか?

<説明>
これは問題となります。
カマンベールチーズを使用している旨の表示から、一般消費者は、カマンベールチーズのみを使用した料理が提供されると認識するものと考えられます。このため、カマンベールチーズ以外のチーズも使用しているにもかかわらず、カマンベールチーズを使用している旨をメニュー等に表示することは、実際のものと異なる表示をしていることになります。したがって、このような表示は、景品表示法上問題となります。

 

<例>
レストランで提供する飲料として「牛乳」と表示していますが、実際には、低脂肪牛乳を提供しています。景品表示法上問題となるか?

<説明>
これは問題となります。
「牛乳」との表示から、一般消費者は、一般的には、スーパー等の小売店で販売されている牛乳と同規格のものが提供されると認識するものと考えられます。このため、低脂肪牛乳を提供しているにもかかわらず、「牛乳」と表示することは、実際のものと異なるものを表示していることになります。したがって、このような表示は、景品表示法上問題となります。

<例>
飲食店で提供するアルコール飲料として「純米酒」と表示していますが、実際には、醸造アルコールなどを使用して製造された清酒を提供しています。景品表示法上問題となるか?

<説明>
これは問題とされます。
「純米酒」との表示から、一般消費者は、醸造アルコールなどを使用せずに製造された清酒が提供されると認識するものと考えられます。このため、醸造アルコールなどを使用して製造された清酒にもかかわらず、「純米酒」と表示することは、実際のものと異なる表示をしていることになります。したがって、このような表示は、景品表示法上問題となります。

 

<例>
レストランで提供する飲料として「シャンパン」と表示していますが、実際には、スパークリングワインをコップに注いで提供しています。景品表示法上問題となるか?

<説明>
これは問題となります。
「シャンパン」との表示から、一般消費者は、フランスのシャンパーニュ地方において、特定の基準に沿って製造された発泡性のワインであって、一般的に他の発泡性のワイン(スパークリングワイン)と比較して、高級感が期待できるものと認識するものと考えられます。このため、一般的な発泡性のワインを提供しているにもかかわらず、「シャンパン」と表示することは、実際のものと異なる表示をしていることになります。したがって、このような表示は、景品表示法上問題となります。

 

<例>
飲食店で提供する飲料として「フレッシュジュース」と表示していますが、実際には、既製品のオレンジジュースやや紙パックのジュースをコップに注いで提供しています。景品表示法上問題となるか?

<説明>
これは問題となります。
「フレッシュジュース」との表示から、一般消費者は、その場で果物が搾られて作られたものといった新鮮感のある果実飲料が提供されると認識するか、少なくとも既製品のオレンジジュースや紙パックのジュースが提供されるとは認識しないものと考えられます。このため、既製品のオレンジジュースや紙パックのジュースを使用しているにもかかわらず、「フレッシュジュース」と表示することは、実際のものと異なる表示をしていることになります。したがって、このような表示は、景品表示法上問題となります。

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