消費者と事業者の対称性とは

投稿者: tohyama | Category: 消費者問題 | コメントをどうぞ

現代社会では、多くの人は何らかの事業体に所属して物の生産やサービス提供の業務に従事し、それによって得た収入で生活に必要な消費財を購入して生活をしています。

そのため、事業体に勤務するときには事業者の立場となり、勤務外で買い物をするときには消費者の立場となります。つまり、誰もが事業者にもなり消費者にもなるという両面性があります。

 

こうした両面性がありつつも、産業の高度化によって事業者と消費者の間の情報量や交渉力の格差は広がっています。この格差が情報力や交渉力の非対称性と呼ばれるものです。

 

事業体の規模が大きくなり、商品やサービスの使用法も複雑になると、事業者の影響力は大きくなり、個々の消費者の立場は相対的に弱くなります。

例えば、最新の家電を購入する場合でも、その操作方法や安全性などの情報については、消費者が知っている知識よりも、圧倒的に製造事業者が保有する情報の方が多いものです。

その家電に欠陥があった場合も、個々の消費者だけでは問題の解決ができないことも多いです。

 

そうした状況で、民法の原則どおり当事者の事業者と消費者を平等(対等)として扱うと、消費者にとって過酷な結果を招いてしまいます。

 

そうした力の格差を補正し、事業者を規制して消費者の権利を手厚くすることで消費者の利益を守り、市場取引の円滑化を促し経済産業の適正な発展を図ることが、消費者契約法や特定商取引法の目的となります。

 

ただし、近年においてはインターネット環境の普及等により、消費者も取引に関する知識を得る機会が増えています。中には企業に対して過大な要求をするモンスター消費者の存在がクローズアップされることもあり、消費者の権利については適正な理解が必要とされます。消費者基本法でも、消費者については「消費生活に関する必要な知識の修得と合理的な行動」の努力義務を求めています。

 

事業者と消費者の両者が消費者契約についての理解を深め、消費者関係の法令を遵守したうえで相互に合理的な行動をするように努めなくてはなりません。

 

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