特定商取引法の改正-訪問購入の規制を新設

投稿者: tohyama | Category: 法律と契約 | コメントをどうぞ

第180回国会において、平成24年8月10日に特定商取引法の改正案が可決されました。

この改正により、「訪問購入」が新たな規制対象として指定されました。

 

改正前の特定商取引法の規制対象は、「訪問販売」「通信販売」「電話勧誘販売」「連鎖販売取引」「特定継続的役務提供」「「業務提供誘引販売」の6つの取引と「ネガティブ・オプション(送りつけ商法)」でした。

 

これに「訪問購入」の取引が追加されたので、特定商取引法の規制対象取引は7種となります。

 

訪問購入という取引形態への規制は、2010年以降に急増した貴金属の訪問買取(出張買取)によるトラブルに対応するものであり、従来までの特定商取引法では規制できなかった問題を改善するものです。
(この問題の詳細は、訪問買取トラブルについてをご参照下さい。)

 

従来までは、訪問買取業者に不当な価格で貴金属等を買い取りされても、クーリングオフはできず、業者が買取した貴金属等を第三者に再販売してしまったら、もう原状回復をすることは困難でした。

そこで、訪問買取(訪問購入)にもクーリングオフを認めるなど、消費者保護を図る規定が新設されました。

 

訪問購入の規制など

 

購入業者に対する不当な行為の規制

・事業者名および勧誘目的の明示義務。

・勧誘を希望しない者への勧誘禁止(不招請勧誘の禁止)

・勧誘を受ける意思の確認義務

・再勧誘の禁止

・勧誘等で不実告知や事実不告知の禁止

・威迫による勧誘など困惑させる行為の禁止

 

書面の交付義務

・物品の種類、購入価格、クーリングオフ、物品の引渡しの拒絶ができることなど、書面に記載して交付することを義務化。

 

クーリングオフ

・8日間のクーリングオフ期間。

・訪問購入の取引では、原則として全ての物品がクーリングオフ対象となる。

・クーリングオフ期間中は、物品の引渡しを拒絶して売主の手元に置くことが可能。

・クーリングオフ期間中に業者が第三者に物品を再販売してしまった場合には、その第三者に対して物品の所有権の主張が可能。(第三者に対する物品の所有権の対抗)

ただし、物品の引渡しを受けた第三者が事情を知らなかった場合(善意無過失)は所有権の対抗はできない。

 

通知義務・告知義務

・クーリングオフ期間中に第三者に物品を引き渡した場合には、売主に対して第三者への引渡しの情報を通知することを義務化。

・クーリングオフ期間中に第三者に物品を引き渡す際には、物品がクーリングオフされる可能性があることを通知することを義務化。

・売主に対して、クーリングオフ期間中は物品の引渡しの拒絶をする権利があることを告知する義務。

 

違反業者への措置

・業務停止命令などの行政処分。

・悪質な違法行為には、懲役や罰金の対象。

 

特定商取引法の全体概要については、特定商取引法の概要のページをご参照下さい。

なお、今回の特定商取引法に対応した出張買取(訪問購入)の契約書雛形をリンク先にて販売しております。

 

 

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