継続的なサービス業の消費者取引を行う場合の契約書

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長期間にわたって継続的に消費者へサービスを提供する事業を行うビジネスでは、サービスの内容や中途解約の条件等を予め定めておく契約書が必要になります。

特に(学習塾・語学教室・家庭教師派遣・エステティックサロン・パソコン教室・結婚情報サービス)の6業種については、特定商取引法で「特定継続的役務」の指定を受けており、詳細な概要書面と契約書面を用意する必要があります。

その特定継続的役務の適用を受けない継続サービス業の場合は、特定商取引法の規制は受けないものの、消費者取引という形態から消費者契約法の適用はあるので、特定継続的役務の契約書に準じたものを整備したいところです。

例えば、高校受験・大学受験以外の学習講座やエステシャンの養成講座など、ある程度の期間をかけて教習をするビジネスは、特定商取引法の適用対象外にはなりますが、消費者契約法の適用はあります。

長期間の契約の場合は、契約を解除するときにトラブルが起きやすいため、特定商取引法の基準を参考にしつつ契約書を作成してリスクを避けるべきです。

しかし、クーリングオフについては事業者にとって厳しい条件であるため、法規制の適用が無ければ採用しなくても構いません。
その場合は中途解約の条件を特定継続的役務に準じて定めておくとよいでしょう。

そのような継続サービス業についての契約書雛形を作成したので、下記ページにて販売しております。

高校受験・大学受験以外の学習講座やエステシャンの養成講座など継続サービス業の契約書作成

可処分所得の減少と単身世帯の増加

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平成25年版の消費者白書では、近年の消費者の購買動向を以下のように分析しています。

 

「勤労者世帯の可処分所得と消費支出の推移を見ると、可処分所得は戦後一貫して上昇してきたものの、1999年頃をピークに減少に転じています。消費支出は可処分所得の約8割を占めていますが、可処分所得の減少や世帯構成員数の減少に伴い、消費支出も近年では減少傾向にあります。」

 

アベノミクス効果による好況が報道される中でも、消費者の購買金額が伸びない構造的課題があるようです。

 

高齢化と少子化が同時に進行し、高齢独居世帯や単身世帯が増え核家族化も加速しています。これにより家庭単位での収入減少、住宅ローン負担、教育費(塾や進学の経費)の高騰など複数の要因が重なり、消費者が自由に使える可処分所得は減少しています。

好況によって一時的に収入が増えたとしても、大型消費にはなかなかつながらないようです。

 

一方で通信費や教育費の支出は高い水準で推移しており、これらの分野での消費活動は活発のようです。

 

単身世帯が増加すると消費者トラブルが発生しても周囲に把握されないことも多くなるので、単身世帯への情報提供や相談窓口の確保など、行政も情報伝達の方法を検討が必要になるかもしれません。

 

消費者行動の変化|商品の売買からレンタルへ

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平成25年版消費者白書によれば、1世帯当たりの消費支出構造の長期的な変化を見ると、1970年に3割弱だったサービスへの支出は、2012年には4割を超えるなど、モノへの支出からサービスへの支出へシフトしていると分析されています。

具体的な支出の内訳については、1970年と2012年を比較すると、サービスへの支出では、通信サービス、教養娯楽サービス、自動車関係サービスの割合が大きく増加しており、商品への支出では、自動車関係の割合が増加しているようです。

 

このように消費者行動は、モノの売買からレンタルなどのサービスに比重が移っているといえそうです。

経済成長を経た日本国内では、耐久消費財などが行き渡り、新たにモノを購入するよりもレンタルで済ますというライフスタイルが鮮明になりつつあります。

今後も消費者の意識は、モノの所有からレンタルへという流れが加速していくことでしょう。

 

そうした変化を捉えて、サービスの提供や権利販売に関する契約の適正化を図っていかなくてはなりません。

 

消費者と事業者の対称性とは

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現代社会では、多くの人は何らかの事業体に所属して物の生産やサービス提供の業務に従事し、それによって得た収入で生活に必要な消費財を購入して生活をしています。

そのため、事業体に勤務するときには事業者の立場となり、勤務外で買い物をするときには消費者の立場となります。つまり、誰もが事業者にもなり消費者にもなるという両面性があります。

 

こうした両面性がありつつも、産業の高度化によって事業者と消費者の間の情報量や交渉力の格差は広がっています。この格差が情報力や交渉力の非対称性と呼ばれるものです。

 

事業体の規模が大きくなり、商品やサービスの使用法も複雑になると、事業者の影響力は大きくなり、個々の消費者の立場は相対的に弱くなります。

例えば、最新の家電を購入する場合でも、その操作方法や安全性などの情報については、消費者が知っている知識よりも、圧倒的に製造事業者が保有する情報の方が多いものです。

その家電に欠陥があった場合も、個々の消費者だけでは問題の解決ができないことも多いです。

 

そうした状況で、民法の原則どおり当事者の事業者と消費者を平等(対等)として扱うと、消費者にとって過酷な結果を招いてしまいます。

 

そうした力の格差を補正し、事業者を規制して消費者の権利を手厚くすることで消費者の利益を守り、市場取引の円滑化を促し経済産業の適正な発展を図ることが、消費者契約法や特定商取引法の目的となります。

 

ただし、近年においてはインターネット環境の普及等により、消費者も取引に関する知識を得る機会が増えています。中には企業に対して過大な要求をするモンスター消費者の存在がクローズアップされることもあり、消費者の権利については適正な理解が必要とされます。消費者基本法でも、消費者については「消費生活に関する必要な知識の修得と合理的な行動」の努力義務を求めています。

 

事業者と消費者の両者が消費者契約についての理解を深め、消費者関係の法令を遵守したうえで相互に合理的な行動をするように努めなくてはなりません。

 

口コミや「いいね!」の「やらせ」をするステマと不当表示

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2012年1月に人気口コミサイトの「食べログ」で、業者が飲食店側から報酬を受け取る代わりに好意的な書き込み(やらせ記事の投稿)をして順位を上げていたとされることが問題視され、消費者庁が調査をしたことが話題になりました。

 

また、2013年1月には、芸能人が自身のブログにペニーオークションサイトでの嘘の落札情報を書き込んで業者から報酬を得ていた実態が明らかになり、大きなバッシングが起きました。

 

このような販売業者が第三者に高い評価を受けていると偽装し、宣伝であると気づかれないように隠れて宣伝をする手法については、ステルス・マーケティングと呼ばれています。

ネットユーザーはこうした行為について、侮蔑を込めてステマと呼んでいます。

 

いわゆるステマは、以上のような口コミサイトやブログへの「書き込みの代行」だけにはとどまらず、ネットのあらゆる所で見かけるようになっています。

 

例えば、フェイスブックの「いいね!」やツイッターのフォロワーを有料で販売する(非公式な)サービスが実在します。ユーチューブの視聴回数を有料で増やす非公式サービスもあります。

こうしたソーシャルメディアで評価の指標となるものをカネで買って、自社で販売する商材の客観的評価性を高める手法は珍しいものではなくなっています。

「カネで買って」というと露骨ですが、「広告費を投じて」に言い換えると少しは高尚に聞こえるでしょうか(笑)

 

また、検索エンジンにおいて、狙ったキーワードで自社サイトを上位表示させるためにSEOという手法が広く認知されています。

検索エンジンのロジックでは、多くのサイトよりリンクを受けるサイトが価値の高いサイトとされるため、そこを逆手にとって特定のサイトにリンクをする有料サービスも数多く存在しています。この有料リンク供給サービスはインターネットが普及した初期より存在しています。

 

最近では、フェイスブックで感動系のエピソード(架空のお話)をシェアし、そこに「いいね!」を集めて、後日にそのページを情報商材の販売ページとして活用する手法に非難が集中しています。

 

こうしたステマの手法に人々が嫌悪感を抱くのは、「やらせ」や「自作自演」という過剰な自己主張を日本人が嫌うという性質をもつこともありますが、やはり販売される商材の性能が適正に表示されていない(=騙されている)という点に問題があるからでしょう。

 

インターネットは情報の収集や発信、人々との交流などを行うには優れた道具であり、僕自身もその恩恵を享受しています。

しかし、そこに流通する情報や共感の指標には、一定の誇張やウソが紛れているということを知っておかねばなりません。

つまり、ソーシャルメディアの情報を手放しで受け入れるのはリスクがあるということです。

 

ネットに溢れる誇張やウソを見抜くには、確かな社会常識やネットの特性についての知識が必要です。

特に社会経験の浅い青年層には、時にはネットを離れてプロの編集者の目を通った書籍を読む時間も確保して欲しいと思います。読書で積み上げた知識とリアルな人付き合いから学んだ経験をベースにして、ネットの情報の真偽を判断する目を養えば、ネットは更に使い勝手の良い道具になってくれることでしょう。

 

話が脱線しましたが、「誰かがカネのために、自分で使用したことも無い商品を他人に勧めるステマの宣伝文を書く行為(または大量のいいね!を供給する行為)」は法律的にはどうなのかという話に戻します。

 

商品の広告をする際に、ウソの情報を書き込んで表示することは景品表示法で禁止されています。

 

同法の第4条第1項第1号では、事業者が消費者に対し、販売する商品やサービスについて以下のような表示をすることを禁止しています(優良誤認表示の禁止)

 

(1)実際のものよりも著しく優良であると示すもの

(2)事実に相違して競争関係にある事業者に係るものよりも著しく優良であると示すもの

 

販売業者が自身で「実際のものよりも著しく優良」と誤認させるような宣伝をすれば、これは同法に違反する不当表示として行政規制の対象になります。

実際に、平成23年度の東京都生活文化局の公表資料によれば、582件(431社)のネット事業者が不当表示についての行政指導を受けています。

 

それでは、販売事業者の依頼を受けた第三者(消費者)が口コミサイトやブログに誇張(虚飾)された商品記事を書く行為についてはどうでしょうか?

 

消費者庁は平成24年5月9日に「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」を改定し、口コミサイトの問題について次のような解釈を示しています。

 

「商品・サービスを提供する事業者が、顧客を誘引する手段として、口コミサイトに口コミ情報を自ら掲載し、又は第三者に依頼して掲載させ、当該口コミ情報が、当該事業者の商品・サービスの内容又は取引条件について、実際のもの又は競争事業者に係るものよりも著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認させるものである場合には、景品表示法上の不当表示として問題となる。」

 

この消費者庁の見解によれば、「販売事業者に依頼を受けた消費者がブログ等に誇張された商品記事を書く」という行為は景品表示法上の不当表示になりうるということになります。

 

つまり、販売事業者は第三者に評価してもらうように装い、第三者のブログ等に誇張された商品記事を書かせることはアウトです。

(ただし、誇張された表現は無く、適正な記事であれば第三者のブログ等に記事掲載を依頼するのはセーフです。)

 

この消費者庁の文書には、口コミサイト以外にもアフィリエイトやフラッシュマーケティングなどについても解釈の指針が示されています。

しかし、フェイスブック等のソーシャルメディアで「いいね!」等の「共感指標」の回数を水増しする行為については、まだ検討は進んでいないようです。

これはフェイスブックの運営主体が対応するべき問題かもしれませんが、類似の行為は今後も多く出現することが想定されるので、スパムメールと同様の扱いで過度な「共感指標の水増し」にも一定の規制は必要になるかもしれません。

 

そうした行政規制を過度に進めるのは産業発展を阻害することにつながるので、出来るだけ運営企業の自浄努力と業界団体での適正化の取り組みを進めてもらいたいところです。

 

また、事業者への規制だけではなく、情報を閲覧する側の消費者の情報リテラシーの向上も必要です。

消費者教育推進法でも、消費者教育の推進は国や地方公共団体の責務とされているので、ソーシャルメディアとの適正な関わり方や溢れる不当表示の問題について学ぶ場を設けてほしいものです。

 

僕自身も自治体や学校での消費者問題の講演に携わる機会は多いので、今回の記事の内容をわかりやすくまとめ、具体的事例を用いてお話をしていきたいと思っています。

 

 

ダイレクトメールが訪問販売や訪問購入に該当するケース(アポイントメントセールス)

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特定商取引法では7つの取引形態(訪問販売・通信販売・電話勧誘販売・連鎖販売取引・特定継続的役務提供・業務誘引販売取引・訪問購入)について事業者規制や解約等の民事ルールが定められています。

 

ビジネスモデルによっては、この複数の取引規制にかかるものもあります。

例えば、消費者に対して(1)郵便でダイレクトメールを送ってアンケートを行い、(2)その回答者に電話をして商品説明をして、(3)その後に消費者宅を訪問して営業活動を行うケースがあったとします。

この場合は、(1)通信販売、(2)電話勧誘販売、(3)訪問販売の3つの取引の要素があり、事業者はこの3つの取引規制を受けることになります。

 

この3つの取引の解約ルールの概略を以下にとり上げてみます。

 

(1)通信販売

・クーリングオフ制度は無し。

・法定返品権があり8日間の返品期間がある。

(特約を定めて返品を無効と定めることもできる。)

・返品送料は消費者負担

 

(2)電話勧誘販売

・8日間のクーリングオフ制度がある。

・返品送料は事業者負担。

 

(3)訪問販売

・8日間のクーリングオフ制度がある。

・返品送料は事業者負担。

・1年間の過量販売解除権がある。

 (通常必要とされる量を超えて著しく超えて販売した場合)

 

このように取引の類型によって、解約に関するルールも微妙に異なります。これらの複数の取引類型にあてはまる場合は全てのルールの適用が可能となり、消費者は自身が有利になるルールを選択して活用できることになります。

また、事業者は複数の取引規制の中で最も厳しい基準に合わせて事業運営をしていく必要があります。

 

ダイレクトメールやインターネットの通販サイトの広告を見て、消費者から電話をかけて商品を注文するケースでは、通信販売にあてはまるため特定商取引法の通信販売ルールが適用されることになります。

しかし、ダイレクトメールやサイトの広告のあり方や消費者とのやりとりの態様によっては、これが訪問販売にあてはまると判断されることがあります。

 

例えば、特定商取引法の通達では以下のような事例についてはアポイントセールスに該当し、訪問販売ルールを適用するとしています。

 

・パーティーや食事会等への招待のように告げながら、パンフレット等に消費者の目に留まらないような小さな文字で「新作商品をお勧めする即売会があります」と記載するケース。

・「あなたは特に選ばれたので非常に安く買える」等のセールストークを用いる場合はその真偽にかかわらず(訪問販売として扱う)。

 

つまり、初期は通信販売や電話勧誘販売の形で接触があったとしても、その後に上記内容のような広告の記載やセールストークがあった場合は、解約ルールについては訪問販売の規定が適用されるということです。

(訪問販売ルールは事業者にとって最も厳しい解約基準となります。)

 

そこで、平成25年2月21日より特定商取引法で規制対象に追加された訪問購入(出張買取)についても、ダイレクトメールや電話勧誘のあり方が問題となってきます。

 

特定商取引法第58条の6では、「勧誘の要請をしていない者に対し」「営業所等以外の場所において」「勧誘」をしてはならないと定めています。

つまり、飛び込み営業(いわゆるアポ無し営業)による訪問購入(出張買取)は原則として禁止されました。

 

しかし、「営業所等以外の場所」での勧誘は禁止されましたが、「営業所等」での勧誘は認められています。

よって、営業所から発するダイレクトメールや電話勧誘による訪問購入の営業活動は認められます。(これは特定商取引法の通達にも明示されています。)

 

訪問購入の事業を行うには、ダイレクトメールか電話勧誘を前置して、消費者の承諾を得た上で訪問を行うことが必要なったということです。

そして、消費者宅を訪問して買取を行うには、特定商取引法の基準を満たした法定書面を交付する義務もあります。

 

買取の事業でも、消費者が主体的に店舗を訪問して、物品を店舗に持ち込んで取引を行う場合には、事業者側から見れば「訪問」にはあてはまらず、こうした取引は特定商取引法の適用除外になります。

 

ただし、前述のアポイントセールスの事例のように、事業者が発したダイレクトメールや電話によって消費者を店舗に呼び寄せた場合には、最終的には店舗での取引になったとしても「訪問購入」にあてはまる可能性があります。

その場合に法定書面を交付せずに取引をした場合は、特定商取引法の法定書面の不交付と判断され、取引から相当の期間を経過してもクーリングオフが行われる可能性もあります。

クーリングオフ期間が経過した以後に契約解除が行われ、転売した物品の原状回復を行うのは買取事業者にとってかなり過酷なリスクといえます。

 

このように特定商取引法の規制対象となる事業を行う場合には、もっとも厳しい基準に合わせて法定書面を整備しておく方が、結果的には事業者利益にもかなうといえるでしょう。

 

特定商取引法の通達改正(平成25年2月20日)と訪問購入規制

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平成24年8月に可決された特定商取引法の改正について、平成25年2月21日より施行されました。

これにより訪問購入(出張買取)の取引が規制されることになりました。この訪問購入規制によって、消費者が要請をしない訪問購入の勧誘禁止、書面交付の義務化、クーリングオフ制度の導入、クーリングオフ期間中は買取物品を消費者の手元に残しておけることの告知義務などが定められました。

これらの義務に反した訪問購入の契約については、消費者はいつでも契約の取消主張ができるようになり、違反した事業者は行政処分の対象になります。

 

特定商取引法の改正をうけて、平成25年2月20日に特定商取引法の通達の改正も公表されました。

 

この通達の改正では、特定商取引法第58条の6(勧誘の要請をしていない者に対する勧誘の禁止等)についての解釈の指針が示されています。

「勧誘の要請」をしていない消費者に訪問購入の勧誘をする行為は禁止とされましたが、例えば、事業者の広告を見た消費者から事業者に電話があり、「○○を売りたいので契約について話を聞きたい」という話があった場合には、これは消費者からの「勧誘の要請」にあたり訪問購入の勧誘をしてもよいとされています。

 

特定商取引法の条文では、「営業所等以外の場所において」訪問購入の勧誘をすることを禁止していますが、電話での勧誘行為やダイレクトメールでの勧誘行為までは禁止されていません。(この点は特定商取引法の通達にも明示されています。)

 

つまり、飛び込みセールスの手法による訪問購入は禁止されましたが、事業者が電話勧誘やダイレクトーメールでの勧誘を行い、その後に消費者が訪問購入の説明を聞きたいと意思表示をした場合には、事業者が法定書面(契約書等)の交付等の義務事項を適正に行えば訪問購入の事業は認められるということです。

 

いずれにしても訪問購入の取引には厳しい規制がかかるようになったので、消費者が納得できないような強引な方法で貴金属等の物品を不当に買い叩くトラブルは減少していくものと見込まれます。

恵那南高校で消費者教育の講演


平成25年1月25日(金)に、恵那市役所消費生活相談窓口と契約学習ネットワークの共催で、恵那南高校において「高校生のための契約知識講座」というテーマで消費者教育の講演を行いました。

 

講演の内容は1月18日に実施した東濃フロンティア高校の講演と同じものです。

講師は契約学習ネットワークの行政書士のメンバーで分担しています。

 

1.消費者契約と消費者トラブル 遠山桂

2.最近のネットの消費者問題 遠山桂

3.法律・契約について 遠山桂

4.クーリングオフ・クイズ 古家秀樹

5.寸劇【デート商法】

  小坂英雄

  古家秀樹

  橋本あみる

  保方多津美

6.悪質商法の手口と救済の法律 遠山桂

7.まとめ 小坂英雄

 

※講師の敬称は省略しております

 

講演を聴講した生徒さんの感想をいくつかご紹介します。

 

「さまざまな被害例を私たちにあわせて取り入れていただきお話くださったので、とてもよくわかりました。また、被害例だけでなく対処方法なども教えていただきましたので、これを参考にこれから身近におこるかもしれない悪徳商法に向き合っていきたいと思います。」

 

「今日の講話を聞いて、普段聞いたことのあるワンクリック請求やインターネット通信販売、オークションなどのトラブルは、大人や高校生だけにおこることではなく、ゲームでは小学生以下の子供までトラブルに巻き込まれてしまうことも分かり驚きました。」

 

「クーリングオフについてクイズや劇などを使って教えてもらってとてもわかりやすかったです。とても悪徳な方法があってとても怖いと思ったし、相手のことを考えないで悪い考えをもっている人が多いのも悲しいことだと思えました。」

 

「トラブルを少なくしたり、消費者を守ったりするため、法律が数多く細かく制定されていることが分かりました。トラブルに巻き込まれないことも大切ですが、巻き込まれてしまったときに法律を理解したり、相談できる機関を利用することも大切だと思いました。」

 

生徒さん達には、消費者契約について楽しみながら理解して頂いたと思います。

これを機会として消費者問題について関心をもって頂ければ、講演を企画した者として嬉しく思います。

 

東濃フロンティア高校で消費者教育の講演


平成25年1月18日(金)に、契約学習ネットワークの主催で土岐市の東濃フロンティア高校で「高校生のための契約知識講座」というテーマで消費者教育の講演を行いました。

 

消費者教育推進法の施行もあり、消費者教育の機会は増加していくのでしょうが、高校教育の中で消費者契約に関する法律や契約の知識について学ぶ機会はそれほど多く確保できるものではないと思います。

 

その貴重な学習機会に、生徒の興味に沿う形で問題提起を行い、トラブルを予防するための法律・契約知識に関心を抱いてもらうことを目的に講演の内容を組み立てています。

その講演概要は以下のとおりです。

 

1.消費者契約と消費者トラブル

2.最近のネットの消費者問題

3.法律・契約について

4.クーリングオフ・クイズ

5.寸劇【デート商法】

6.悪質商法の手口と救済の法律

7.まとめ

 

契約学習ネットワークの高校・大学講演の特徴は、講演の合間にクイズと寸劇を盛り込んで、楽しみながら理解をしていくことができる点です。

講演も関連資料をスライド投影して、視覚的にもわかりやすさを追求しています。

講演に用いる事例についても、高校生・大学生の関心が高い情報端末や異性からの勧誘の手口を採り上げ、聴講生の反応を見ながら毎回アレンジを続けています。

この講演活動も今年で10年の節目を迎えるので感慨深いものがあります。

 

聴講された東濃フロンティア高校の生徒のみなさんは、熱心にメモをとりながらよく話を聴いていました。素晴らしい聴講姿勢だったと思います。

講演の中で聴くべきところはしっかりと聴き、笑うところではちゃんと笑って頂き、講師陣もお話がしやすい環境でした。

 

聴講された生徒の皆さんが、今回で得た知識を活かして、消費者被害に遭わない選択を続けていくことを願います。

テレビ広告による通信販売の初めての行政処分

投稿者: tohyama | Category: 消費者問題 | コメントをどうぞ

消費者庁は平成24年11月29日に、健康食品などの通信販売業者のネイチャーウェイ株式会社に対して、特定商取引法第14条第1項の規定に基づいて行政処分を行ったと発表しました。

 

違反の内容は「債務の履行拒否」とのことです。

 

同社がテレビ広告において、「商品到着日より30日以内であれば商品代金全額お返しします」と表示しながら、実際には、開封した空箱を破棄等した消費者に対して、「返品の際には必ず開封後の空箱と残りの未開封商品を同封して返送ください」というテレビ広告には表示していない返品特約があるとして、商品代金の返還に応じなかったそうです。

 

「返品の際には必ず開封後の空箱と残りの未開封商品を同封して返送ください」という条件については、一般的な商慣習にあったもので、これが違反というわけではありません。

この返品に関わる制限事項がテレビ広告で明瞭に表示されていなかったのが問題です。

 

 

このテレビ広告のキャプチャー画像を見る限り、確かに返品の制限事項には触れられていません。

販売業者側では、パンフレットなどに返品の制限事項を表示していたのかもしれませんが、テレビ広告で返品可能を宣伝するからには、その重要事項ともなる返品の制限事項も明瞭に表示しなさいということでしょう。

 

処分内容としては、テレビ広告で表示した通りの条件で返品と返金の債務を履行することを強制したということのようです。

 

消費者が広告を目にする媒体の中で、重要事項をわかりやすく表示することが求められているということです。

 

なお、これがテレビ広告では初めての行政処分ということです。

 

返品可能と宣伝をするからには、全ての返品を受け入れるか、返品の制限事項がある場合にはその内容を大きく表示することが必要です。