ネット営業の遠山行政書士事務所

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ビットコインの仕組みと信頼性|マウントゴックス取引停止の影響

契約トラブルを無くして顧客満足度の向上を

2014年2月25日にインターネット上の仮想通貨ビットコインの世界最大級取引所「マウントゴックス」(東京)のサイト上に「全ての取引を当面停止する」との声明が出され、それ以降はサイトも閉鎖するという事態となりました。
英紙フィナンシャル・タイムズによれば、4億ドル(約400億円)規模の資産が宙に浮くと伝えられました。
ウィキペディアの情報によると、同社は2013年4月時点では世界のビットコイン取引量の70%を占めていたとされています。

サイト上の声明では、同社がビットコインの取引を停止した理由は明らかにされていません。
ただ、2011年6月には同社のビットコイン取引システムに不正侵入者によるハッキング行為があり、ビットコインの名目価格が不当に下げられ、その影響が875万ドル以上に上るという事件がありました。
また、2013年2月7日には、同社の技術的不具合によりビットコインの引き出しが停止となり、取引システムが不安定になりました。
インターネット上には、マウントゴックスの社章入りの「危機管理戦略」という出所不明の文書が出回り、そこにはここ数年で744,000ビットコイン(時価409,200,000ドル=420億円相当)も不正侵入者に盗まれていた、2月の引き出し停止もこの窃盗で使われたのと同じ脆弱性を突く攻撃に遭ったのが原因と記載されていました。
この文書の真偽の程は定かではありませんが、同社の取引システムに問題があった可能性が推測されます。

こうした事態を受け、他のビットコインの大手取引所5社は2月24日に「他の取引には影響ない」との共同声明を発表しています。

このビットコインの仕組みについては公益財団法人 国際通貨研究所が公表している下記文書にて詳しく解説されています。

 

国際通貨研究所「ビットコインの仕組みと課題

 

上記資料によれば、仮想通貨であるビットコインの信頼性はMiningという不特定多数の
オンラインユーザーによる認証作業によって保証され、善意の多数者の目によって取引が保全される仕組みとのことです。
例えば、ウィキペディアがインターネット上で誰にでも編集ができる百科事典として広く利用されていますが、悪意ある編集者が意図的に間違った記事を投稿しても、圧倒的多数の善意ある編集者がそれを修正して記事の信頼性を保つ仕組みに似ています。
(Miningの認証作業は有償であるため、ボランティアとは異なります。)

Mininngとは、ビットコインの所有者履歴をオンライン上で記録していく作業のことで、この作業に対して取引所から報酬が支払われます。この作業は報酬を目的とした多数の人の手によって更新され続けます。こうした記録は公表され、ビットコインが生まれてから最新利用者の手に渡るまでの履歴が誰でも確認できるようになっています。
この所有者履歴の公開性という性質から、ビットコインの偽造が困難となり、所有するビットコインの真性が確保されるという仕組みです。
マウントゴックスの取引停止は、同社のオンラインシステムが脆弱であり、致命的な不正侵入を許してしまったことにあると推測されています。

本来、通貨の信用を維持するには莫大な費用がかかります。銀行のオンラインシステムの維持にも相当の費用がかかっています。こうした従来からの通貨管理システムは、最終的には国家が信用の担保をしており、中央銀行を筆頭とするピラミッド型の責任系統が確立しています。

一方で現状のビットコインについては国家による保証はなく、強力な指揮権を有する管理者も存在しません。あくまでも平等なネットワークの中で仮想通貨を利用する目的のみで運営されています。
そのため取引システムの運用費用は低く抑えることができて、利用者への手数料負担を軽くすることが可能です。
しかし、国家が介入していないため、ビットコインの取引システムには、現状では行政規制も信用保証もありません。
利用者は、この性質を知ったうえで利用をしなくてはなりません。

このビットコインの国際的な流通状況ですが、前記資料によれば2014年現在で85億ドル(米)ほどであり、銀行の全世界向け国際債権残高19兆7600億ドルとの比較では0.04%程度のようです。この流通量では従来の金融システムにインパクトを与える水準ではありません。
こうした面からも、アメリカや日本の政府がビットコインの信用不安について救済に乗り出す可能性は極めて低いとの見方が大勢です。

そうとはいえ、現時点で400億円相当ものビットコイン利用者の資産が消失するリスクがあり、このような不安定なシステムを放置してはおけないという議論は生じるでしょう。

もし、ビットコイン取引について、虚偽の情報による不実の勧誘行為が多数見受けられるなら、消費者安全法の多数消費者財産事案に該当する可能性はあるかもしれません。ただし、その場合でも事業者調査はされるでしょうが、財産を消失した被害者の個別救済は行われません。
本件での被害は、マウントゴックスが経営再建をしない限り、救済される見込みは低いでしょう。

金融行政や消費者行政としては、こうした仮想通貨のトラブルを再発させないために、法規制などを強化することを検討する時期にきているのかもしれません。

ビットコインは、初期のインターネットがそうであったように、政府による介入の度合いが低く自由に取引が始められるものです。
しかし、インターネットは利用者が増加し、社会のインフラとして定着するようになると、安全性確保のために法規制が強化されてきました。
恐らくビットコインについても、インターネットの規制強化と同じ道を歩むものと思われます。

※この記事は2014年2月28日時点で確認できた資料に基づいて執筆したものです。

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