消費者が何らかのコンテンツを閲覧しているときに、その中に消費者の関心を引くリンクを設け、そのリンクをクリックさせて架空の料金請求の画面へ誘導する行為を「ワンクリック請求」や「ワンクリック詐欺」と呼んでいます。
動画投稿サイトやSNSなどに架空請求サイトのURLを記し、それをクリックした消費者に対し(架空の)利用料金の請求をする画面を表示するという手口が横行しています。
コンテンツの多くはアダルトや出会い系の情報のため、閲覧をした消費者の後ろめたさにつけ込んで金銭を支払わせようとする詐欺的なサイトが問題になっています。
ワンクリック請求を行うサイトの中には、不正プログラムを自動的にダウンロードさせて、架空請求の画面を終了させてもすぐに再表示をしてしまうものもあります。
こうした執拗な請求に驚いて支払いをしてしまう消費者もいます。
スマートフォンの普及によって、消費者がキャリア非公認のアプリを利用して個人情報を抜き出され、それが架空請求に悪用されるリスクも増大しています。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)によれば、こうしたワンクリック請求に関する相談は2010年6月時点で累計2万件を超えています。
架空請求に応じて金銭の支払いをしてしまったという被害も少なくないようです。
そもそも契約は当事者の申込と承諾の意思表示が一致することが前提であり、ワンクリックで誘導された消費者には「有償でサービスを購入する」という承諾の意思が欠けています。
そのため、有料であることの承諾を経ていないワンクリック請求のサイトとの契約は成立しておらず、消費者は料金を支払う義務はありません。
また、電子消費者契約法や特定商取引法では、インターネットでサービス等の販売をする事業者には、有償であることを事前に表示することを義務化し、注文フォームの確認画面においても有料確認の表示をすることも義務として定めています。
ワンクリックで確認画面も表示させずに料金請求の画面を表示するサイトは、この点でも表示義務違反をしており、そのような契約は無効とされます。
こうしたワンクリック請求のサイトには、未成年やインターネットの利用経験が少ない消費者が支払いをしてしまう事例が続いています。
そのような被害を撲滅するためには、不正な架空請求を行う事業者の取締りと消費者への啓発が必要といえるでしょう。