
割賦販売法はクレジット契約を規制する法律として1961年に制定されました。
その後、1972年の改正で訪問販売による自社割賦契約にクーリングオフ制度を認め、1984年の改正では支払い停止抗弁権の明文化、2008年の改正で悪質業者のクレジット契約に被害予防の規定を盛り込み、消費者保護の規定が強化されてきました。
クレジット契約とは
クレジット取引とは、消費者が販売店で買い物(売買契約)をした際に、その代金の支払いを繰り延べするものであり、販売店が代金立て替え(与信)を行う2者型の取引と、クレジット会社が与信をする3者型の取引があります。
2者型クレジット取引の場合は、消費者は後で代金を販売店に支払い、3者型クレジット取引の場合は、消費者は後で代金をクレジット会社に支払います。
割賦販売法でのクレジット契約の類型
割賦販売法では、クレジット契約を以下の3種類に分けて定義をしています。
(1)割賦販売
販売店と消費者の2者型の取引であり、売買契約において販売店自体が与信を行い、消費者は代金を後払いにするもの。
(2)ローン提携販売
消費者が金融会社と金銭貸借契約を結んで借入を行い、その借入金で販売店から商品の購入を行うもの。販売店は金融会社に対して、消費者の借入金について連帯保証をする。
この取引形態は激減しており、あまり見られなくなっている。
(3)信用購入あっせん
販売店とクレジット会社が加盟店契約を結び、クレジット会社は消費者の購入代金相当額を販売店に交付し、消費者は後日にクレジット会社に対して支払いをする。
現在はカード発行を行う包括式信用あっせん契約(クレジットカードによる取引)が主流になっている。
契約方式
クレジット契約には、カードを発行する包括式と、商品売買の度にクレジット申込書を作成して審査を行う個別式の2種類があります。
個別信用あっせん契約(ショッピングクレジットとも呼ばれる)は減少し、包括信用あっせん契約(クレジットカード取引)が増加し続けています。
クレジット業者の規制と解約ルール
割賦販売法では、以下のようなクレジット業者の規制と解約ルールが定められています。
取引条件の表示義務
クレジット業者は、分割手数料の実質年利などクレジット契約の諸条件を表示する義務があります。
書面交付義務
クレジット業者は、個別取引の開始前やカード発行の際には、重要事項について告知をする書面を発行する義務があります。
クーリングオフ
指定商品・役務に該当する契約についてはクーリングオフ制度が導入されています。
ただし、2ヶ月を超えない一括支払い(マンスリークリア)の包括信用あっせん契約(クレジットカード取引)については、クーリングオフの適用除外とされています。
支払い停止抗弁
販売店と消費者の間に債務不履行などの問題が生じた場合は、消費者はその問題を理由としてクレジット会社に対して支払い停止の抗弁ができることを認めています。
ただし、2ヶ月を超えない一括支払い(マンスリークリア)の包括信用あっせん契約(クレジットカード取引)については、この支払い停止抗弁は適用されません。
個別信用あっせん契約の過量販売解除権
商品売買の度にクレジット申込書を作成して審査を行う個別信用あっせん契約については、通常必要とされる量を著しく超えた販売があったときには、消費者がそれを理由に契約解除できる権利を認めています。(契約から1年以内の取引に限定)
過剰与信の禁止と適正管理義務
信用あっせん契約は、消費者に対して過剰与信をする行為を禁止されています。
また、消費者情報の適正な扱いや消費者苦情の適切な処理などの適正管理義務も定められています。