1990年代の後期から情報化の進展や雇用不安の拡大などが重なり、国民の資格習得や副業(内職)への関心が高まりました。
そうした流れの中で、資格習得の支援や内職のあっせんを行う事業者が急増しました。
こうした事業者の中には、消費者に対して「簡単に資格が取得できる」「内職を紹介するから教材を購入してほしい」等と持ちかけて、実際にはほとんど支援や紹介をしないという悪質なところが多くありました。
このような資格取得や内職の紹介をすることを口実にして、消費者に入会費や教材費を支払わせ、約束をした支援や内職あっせんをしないでトラブルを引き起こす手口を資格商法や内職商法と呼んでいます。
資格商法・内職商法の事業者は、電話勧誘やインターネットでの広告等で集客をすることが多く、主婦やビジネスマンがターゲットにされています。
資格取得や内職紹介の条件となる教材購入をクレジット契約で提供し、消費者の支払いは月々の分割になるから、それ以上の金額の内職を紹介するので利益を上げることができるというセールストークが目立ちました。
このような手口を規制するため、2000年(平成12年)の特定商取引法改正により、業務提供誘引販売取引の規定が新設されました。
これにより内職商法には20日間のクーリングオフ期間や、勧誘時や契約時に事業者が交付する書面にも詳細な記載義務事項が定められました。
また、2008年(平成20年)の割賦販売法改正により、個別クレジット業者に対する販売店の調査義務を定め、不適切な勧誘をする販売店には与信を行わないように規制を強化しました。
こうした規制によって、悪質な資格商法・内職商法の業者はクレジットを利用し難くなりました。
国民生活センターの国民生活年報2011年版によれば、内職商法等の苦情相談件数は2002年度には27,658件ありましたが、2010年度には6,467件にまで減少しました。