消費者庁より不当表示の注意を受けてからでは手遅れに。広告チェック体制は万全に。
インターネットやチラシなどで商品・サービスを告知することは「広告」にあたりますが、そうした広告を表示するには景品表示法の規制内容を理解して取り組む必要があります。
適正な広告の範囲を逸脱した表示を行うと消費者庁や都道府県から指導や処分を受けることになってしまうばかりでなく、一般消費者からの信用も失ってビジネスに大きなダメージを被ることになります。
当事務所では、消費者庁から不当表示に関する資料提示を求められた販売事業者様から問合せを頂くこともありますが、基本的にはそのような段階で慌てて対策をしようとしても手遅れです。
消費者庁から不審とされる広告表示の根拠を証明する資料の提出を求められますが、そのような請求をされる時点で広告の内容が疑わしいと判断されているわけで、それから急ぎで資料を作成しても適正な根拠として認めてもらうことは困難なことが多いものです。
(特に健康食品や健康器具など生命安全に関わる商品・サービスについては、効果効能をうたう表示はほとんどアウト判定になります)。
広告コンプライアンスを意識して適正な広告表示をしていくには、広告の企画段階から広告表現について内部で検討をして、定期的に外部専門家のチェックも受けるという努力が必要です。
広告表示に関する根拠についても、広告を公開する以前に十分な資料を準備しておき、ウェブページにも根拠について注釈を記載しておく準備が求められます。
その判断が社内では難しいという場合には、外部専門家のコンサルティングを活用するべきでしょう。
景品表示法の不当表示とは
景品表示法については、「景品規制」と「表示規制」の2つの規制があります。
更に「表示規制」は、「優良誤認」と「有利誤認」と「特定分野」の3つの規制に分かれています。
具体的には次のとおりです。
<景品規制>(過大景品の禁止)
(1)一般懸賞
くじ引きやクイズなどの懸賞の景品最高額は購入価格の20倍まで。
(購入価格が5,000円以上の場合は10万円まで。)
(2)共同懸賞
商店街などの懸賞の景品最高限度額は30万円まで。
(3)総付(そうづけ)景品
購入者全員に景品を提供する場合は購入額の20%まで。
ポイントや金券は値引きと判断され、景品の制限は受けない。
(4)オープン懸賞
商品購入や入会を条件としない懸賞は最高金額の制限が無い。
<表示規制>
(1)優良誤認表示
製品の品質等の内容が実際よりも著しく優良であると表示すること。
(例)「過剰なダイエット効果の宣伝」「産地偽装の食品」など
(2)有利誤認表示
製品の価格等の取引条件が実際よりも著しく有利に表示すること。
(例)「携帯電話がO円」「上げ底包装」「定価と売価の二重価格」など
(3)特定分野の表示
・無果汁の清涼飲料水についての表示
・商品の原産国に関する不当な表示
・消費者信用の融資費用に関する不当な表示
・不動産のおとり広告に関する表示
・おとり広告に関する表示
・有料老人ホームに関する不当な表示
この「景品規制」と「表示規制」に違反する広告表示が「不当表示」として規制の対象になります。
不当表示の問題が起こりやすいパターン
以下に不当表示として行政指導や行政処分(措置命令)を受けることが多いパターン(事例)を挙げます。
・ナンバーワン表示
「売上高首位」「業界最高品質」など、同業他社と比較して自社商品が優れていることを強調する表示です。
比較対照範囲が明確であり統計的にも適正な調査結果が示されるなら、こうした表示も適正と評価されます。
ただし、その調査内容に偏向性や恣意性があると不当表示と判断されます。
・二重価格表示
旧価格と新価格を比較してお買い得感を訴求する表示です。
過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示については、比較対照価格は最近相当期間に渡って販売されていた価格でなければならないとされています。
そうした過去の販売価格を表示していた期間と実績を管理する資料を作成しておくことが必要です。
・「激安」や「超特価」といった表示
市中価格と比較して大幅な安い価格ではないのに、「激安」「超特価」という表示を付けることは不当表示にあたるおそれがあります。
販売実績が無い商品であっても、市中価格との比較で相当に安い価格であれば「お買い得品」などの表示をすることは適正と判断されます。
・打ち消し表示の視認性が悪い場合
「全品5割引。ただし女性限定」といった広告表示については、「全品5割引」が強調表示にあたり、「ただし女性限定」が打ち消し表示にあたります。
強調表示と打ち消し表示のどちらもが見やすく表示されていれば適正ですが、打ち消し表示がわかりにくく表示されている場合は不当表示にあたるおそれがあります。
・期間限定販売(キャンペーン)
「春キャンペーン3割引」「夏キャンペーン3割引」「秋キャンペーン3割引」「冬キャンペーン3割引」のようにキャンペーンの名称を変えるだけで常時3割引をしているケースでは、3割引をした価格が通常価格とみなされるので、これらのキャンペーンが不当表示にあたるおそれがあります。
また、ネット通販などで「10日間限定価格。以後は通常価格に戻ります」と表示しているのに、10日間経過しても通常価格に戻らない場合も限定価格が通常価格となり不当表示とみなされるおそれがあります。
この他にも不当表示となる広告表現は多くあります。
社内の少数の関係者だけで広告の企画をしていると、どうしてもチェック漏れが起こりやすいという問題もあります。
また、インターネット広告の技術は進歩しており、効果は高くてもその挙動が閲覧者にとって不評となるものもあります。新しい広告手法を導入する際には、広告効果と閲覧者の離脱率なども検討する必要もあるでしょう。
こうした広告コンプライアンスに関するコンサルティングや具体的なチラシ内容のチェックは継続的に取り組んでいかねばなりません。
当事務所では、通販サイト運営者様やチラシ発行者様の疑問を解消するためのご支援を承っております。
広告コンプライアンスに関する継続的な顧問契約については下記のリンク先ページをご参照ください。
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