高度経済成長期には消費者被害も増加し、その対策として1968年に消費者保護基本法が制定されました。
2004年には消費者基本法に改称され、消費者の自立支援という概念が盛り込まれました。
目的と基本理念
本法の目的は、「消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力等の格差」にかんがみ、消費者の利益擁護を図って国民の消費生活の安定を確保するとされています。
その上で、次の8つの消費者の権利を尊重するものとしています。
この8つの権利は、国際消費者機構(CI)の権利宣言に基づいています。
(1)消費生活における基本的需要が満たされる権利
(2)健全な生活環境が確保されるなかで生活を営む権利
(3)消費者の安全が確保される権利
(4)商品および役務について消費者の自主的かつ合理的な選択の機会が確保される権利
(5)消費者に対し必要な情報が提供される権利
(6)消費者に対し必要な教育の機会が提供される権利
(7)消費者の意見が消費者政策に反映させる権利
(8)消費者に被害が生じた場合には適切かつ迅速に救済される権利
この「消費者の権利尊重」の他に、「消費者の特性に配慮した消費者の自立の支援」「高度情報化社会の進展に配慮」「国際的な連携の確保」「環境の保全に配慮」という5つの基本理念が定められています。
国・事業者・消費者の責務
消費者基本法では、国には消費者政策を推進する責務があると定めています。同様に地方公共団体には当該地域の社会的、経済的状況に応じて消費者政策を推進する責務があると定めています。
事業者には、消費者との取引において公正確保、必要な情報の提供、消費者の状況への配慮、迅速な苦情処理、国・地方公共団体の消費者政策への協力などの責務が定められています。
消費者は、自ら進んで必要な知識の修得をし、必要な情報を収集して合理的な行動をするよう努めなくてはならないとされています。
政府の施策
政府には消費者基本計画を定めることが義務とされています。この消費者基本計画は5ヵ年ごとに更新されています。