
インターネット掲示板やコミュニティサイトなどの機能を利用し、出会いを求める異性の情報を紹介する出会い系サイトは、児童売買春などの温床になる危惧があるだけでなく、不適切な利用の放置によって消費者に多額の利用料を負担させるという問題もあります。
出会い系サイトは利用状況に応じたポイント制を採用する事業者が多く、メール交換の頻度に応じて消費者は消費したポイント分の金額を支払うものとされています。
出会い系サイト事業者にとっては、消費者がサイトを通じてより多くのメール交換をすれば、利用料金が増加し、それが事業者の収益になります。
そのため、出会い系サイトの初期の利用については無料であることを広告し、一定程度の利用を経ると有料の課金制に移行するいわゆるフリーミアムの営業手法を採用する事業者が多くなっています。
しかし、無料であることの広告を強調するあまり、課金に移行する際の消費者の同意手続が不完全であり、課金のトラブルを起こすこともあります。
この有料課金の同意を得るための表示が、電子消費者契約法や特定商取引法のガイドラインを満たしていない場合は、契約自体が無効となります。
また、サイトを通じたメール交換を活性化させるために、事業者が交際を希望する異性を装ったメール相手(いわゆるサクラ)を用意している疑いがある事例も多発しています。
特にサクラからメール交換をすることによる報酬を持ちかけられ、それを信じて出会い系サイトのポイントを消費し、利用料の支払いを重ねて多額の損害を被るケースも増えています。
このようなサクラを用意した欺瞞的な方法で消費者にポイントを消費させることは詐欺の疑義も生じますが、サクラの有無や事業者との雇用関係の立証は困難になります。
但し、このような状況を放置して、数百万円もの利用料を支払わせることは暴利行為にあたるという趣旨の判例も増え、事業者に既払い金の返還を命じる実績があがっています。
出会い系サイト規制法によって、サイト運営事業者の届出や利用者の年齢確認などの義務化はされていますが、有料確認の方法が不適切な事業者やサクラ行為の横行などの問題は残っています。
これらの問題の実態調査と取り締まりの強化は必要かもしれません。