ネット営業の遠山行政書士事務所

岐阜県中津川市蛭川2244-2

「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項」に沿った広告を

契約トラブルを無くして顧客満足度の向上を

消費者庁は平成28年6月30日に「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」というガイドラインを公表しました。これは平成25年12月に公表された「いわゆる健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」を更新するものです。

インターネットの普及とともに健康食品の広告・宣伝が活発になっていますが、健康の保持増進の効果が実証されていない表示が横行している実態があり、こうした不当表示を防止するために新たなガイドラインが示されました。
平成27年に景品表示法が改正されて罰則が強化されましたが、これらは連動しており、健康食品の販売業者だけでなくアフィリエイターも確認が必要です。

このガイドラインの全文は消費者庁サイトにて公開されています。

 

健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について|消費者庁

 

なお、本ガイドラインにおいては、景品表示法及び健康増進法上問題となる表示例が具体的に示されていますが、虚偽誇大表示等に関する景品表示法及び健康増進法の規定は、いずれも、特定の用語、文言等の使用を一律に禁止するものではありません。虚偽誇大表示等に該当するか否かは、表示全体から、表示ごとに個別具体的に判断されるものです。

以下に、このガイドラインの要点を記載します。

 

健康食品の定義

健康保持増進効果等を表示して食品として販売に供する物であって、保健機能食品以外の食品を「健康食品」とします。
保健機能食品とは、特定保健用食品・機能性表示食品・栄養機能食品を含めた総称であり、これらは国が定めた一定の承認手続を経たものです。

 

健康保持増進効果等とは

「健康保持増進効果等」は、(1)「健康の保持増進の効果」と(2)「内閣府令で定める事項」に分類されています。

 

⑴ 「健康の保持増進の効果」
ア 疾病の治療又は予防を目的とする効果
例:「糖尿病、高血圧、動脈硬化の人に」、「末期ガンが治る」、「虫歯にならない」、「生活習慣病予防」、「骨粗しょう症予防」、「アレルギー症状を緩和する」、「花粉症に効果あり」、「インフルエンザの予防に」、「便秘改善」

 

イ 身体の組織機能の一般的増強、増進を主たる目的とする効果
例:「疲労回復」、「強精(強性)強壮」、「体力増強」、「食欲増進」、「老化防止」、「免疫機能の向上」、「疾病に対する自然治癒力を増強します」、「集中力を高める」、「脂肪燃焼を促進!」

※「ア 疾病の治療又は予防を目的とする効果」と「イ 身体の組織機能の一般的増強、増進を主たる目的とする効果」は医薬品にのみ認められる表示であり、健康食品及び保健機能食品では表示することは許されません。

 

ウ 特定の保健の用途に適する旨の効果
健康の維持、増進に役立つ、又は適する旨を表現するものであって、特定保健用食品に表示が認められるものです。健康食品には表示することは許されません。
例:「本品はおなかの調子を整えます」、「この製品は血圧が高めの方に適する」、「コレステロールの吸収を抑える」、「食後の血中中性脂肪の上昇を抑える」

 

エ 栄養成分の効果
栄養機能食品に表示が認められるものであり、健康食品には表示することは許されません。
例:「カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です」

 

⑵ 「内閣府令で定める事項」
「内閣府令で定める事項」とは、次に掲げるものです。

ア 含有する食品又は成分の量
例:「大豆が○○g含まれている」、「カルシウム○○㎎配合」

 

イ 特定の食品又は成分を含有する旨
例:「プロポリス含有」、「○○抽出エキスを使用しています」

 

ウ 熱量
例:「カロリー○%オフ」、「エネルギー0kcal」

 

エ 人の身体を美化し、魅力を増し、容ぼうを変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つことに資する効果
例:「美肌、美白効果が得られます」、「皮膚にうるおいを与えます」、「美しい理想の体形に」

 

⑶ 「健康保持増進効果等」を暗示的又は間接的に表現するもの
次に掲げるもののように、「健康保持増進効果等」を暗示的又は間接的に表現するものであ
っても、「健康保持増進効果等」についての表示に当たります。

ア 名称又はキャッチフレーズにより表示するもの
例:「ほね元気」、「延命○○」、「快便食品(特許第○○○号)」、「血糖下降茶」、「血液サラサラ」

 

イ 含有成分の表示及び説明により表示するもの
例:「腸内環境を改善することで知られる○○○を原料とし、これに有効成分を添加することによって、相乗効果を発揮!」、「○○○(成分名)は、不飽和脂肪酸の一種で、血液をサラサラにします」

 

ウ 起源、由来等の説明により表示するもの
例:「『○○○』という古い自然科学書をみると×××は肥満を防止し、消化を助けるとある。こうした経験が昔から伝えられていたが故に、×××は食膳に必ず備えられたものである。」、「×××(国名)では医薬品として販売されています」、「欧州では循環器系の薬として、○○○が使用されています」

 

エ 新聞、雑誌等の記事、医師、学者等の談話やアンケート結果、学説、体験談などを引用又は掲載することにより表示するもの
例:○○ ○○(××県、△△歳)「×××を3か月間毎朝続けて食べたら、9㎏痩せました。」
○○医科大学△△△教授の談「発がん性物質を与えたマウスに○○○の抽出成分を食べさせたところ、何もしなかったマウスよりもかなり低い発ガン率だったことが発表されました」

 

オ 医療・薬事・栄養等、国民の健康の増進に関連する事務を所掌する行政機関(外国政府機関を含む。)や研究機関等により、効果等に関して認められている旨を表示するもの
例:「××国政府認可○○食品」、「○○研究所推薦○○食品」

 

景品表示法の規制対象

 

景品表示法において規制の対象となるのは、商品・サービスを供給する事業者であり、広告媒体を発行する事業者(新聞社、出版社、広告代理店、放送局、ショッピングモール等)は、原則として、規制の対象となりません。
ただし、共同して商品・サービスを一般消費者に供給していると認められる場合には規制対象となり得ます。

 

健康増進法の規制の対象

「食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をする者」であれば規制の対象となり、食品の製造業者、販売業者等に何ら限定されるものではありません。したがって、例えば、新聞社、雑誌社、放送事業者、インターネット媒体社等の広告媒体事業者のみならず、これら広告媒体事業者に対して広告の仲介・取次ぎをする広告代理店、サービスプロバイダーも同項の規制の対象となり得ます。
アフィリエイトサイト上の表示についても、広告主がその表示内容の決定に関与している場合には、広告主は景品表示法及び健康増進法上の措置を受けるべき事業者に当たるとされています。アフィリエイターやASPも景品表示法の規制は受けなくても健康増進法の規制は受けるとされています。

 

景品表示法の不当表示

ア 優良誤認表示(景品表示法第5条第1号)
実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの。

 

イ 有利誤認表示(景品表示法第5条第2号)
商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの。

 

健康増進法上の虚偽誇大表示

(誇大表示の禁止)
第31 条 何人も、食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは、健康の保持増進の効果その他内閣府令で定める事項(「健康保持増進効果等」という。)について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。

 

ア 事実に相違する表示
「事実に相違する」とは、広告等に表示されている健康保持増進効果等と実際の健康保持増進効果等が異なること

 

イ 人を誤認させる表示
「人を誤認させる」とは、食品等の広告等から一般消費者が認識することとなる健康保持増進効果等の「印象」や「期待感」と実際の健康保持増進効果等に相違があること

 

ウ 「著しく」
健康増進法第31 条第1項は、食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは、健康保持増進効果等について「著しく」事実に相違する表示又は「著しく」人を誤認させるような表示はしてはならないと定めている。広告は、通常、ある程度の誇張を含むものであり、一般消費者もある程度の誇張が行われることを通常想定しているため、社会一般に許容される程度の誇張であれば取締りの対象とはせず、「著しく」人を誤認させるような表示を禁止する趣旨となっている。

 

本ガイドラインでは、「消費者は、通常、口コミサイト等の口コミ情報は中立・公正な第三者によって書き込まれたものと認識することから、このような口コミ情報は、ある程度の誇張がなされることが想定されている広告よりも、一般消費者の商品選択に与える影響が一般的に大きいと考えられる。そのため、健康食品の販売事業者等が書き込んだ(第三者に口コミ等を書き込むように依頼した場合を含む。)口コミ情報によって表示される健康保持増進効果等と実際の健康保持増進効果等に相違がある場合には、通常、「著しく」に該当する。」との解釈を示し、口コミ情報の偽装については不当表示にあたるとコメントしています。

 

不実証広告規制(景品表示法第7条第2項)

景品表示法第5条第1号により禁止される優良誤認表示の疑いがある場合、消費者庁は、その表示を行った事業者に対し、その表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる(景品表示法第7条第2項)とされています。

「合理的な根拠」としては、専門機関の学術文献(査読者がいるもの)や客観的なヒト試験報告書が求められると例示されており、単にサイト上のレビューをまとめたものや恣意的なヒト試験データは認められていません。
この水準の報告書は専門機関での研究を実施できる事業規模でないと用意するのは困難と思われます。こうした合理的根拠を用意できないような表示は行うべきではありません。

 

景品表示法違反行為に対する措置

消費者庁は、表示違反が認められた場合は事業者に対し、一般消費者に与えた誤認を排除すること、再発防止のための必要事項やその違反行為を取りやめることなどを命ずること(措置命令)ができます。
措置命令に違反した者には、景品表示法第36 条の規定に基づき、2年以下の懲役又は300
万円以下の罰金が科され、情状によっては懲役と罰金が併科されます。
この罰則に加え、措置命令に違反した事業者(法人、自然人又は法人でない団体)にも3億円以下の罰金刑が科されます(景品表示法第38 条第1項第1号、第2項第1号)。

 

健康増進法違反行為に対する措置

消費者庁は、健康増進法に違反して表示した者がある場合には、その者に対し、当該表示に関し必要な措置をとるべき旨の勧告をすることができます。勧告を受けた者が、正当な理由なくその勧告に係る措置をとらなかったときは、その者に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができます(健康増進法第32 条第2項)。当該命令に違反した者には、6月以下の懲役又は100 万円以下の罰金が科されます(健康増進法第36 条の2)。

 

健康食品において問題となる表示例

以下に不当表示となりうる表示例を挙げます。

 

⑴ 医師又は歯科医師の診断、治療等によることなく疾病を治癒できるかのような表示
例:「この商品を飲めば、医者に行かなくとも動脈硬化を改善!」
「薬に頼らずに、糖尿病や高血圧を改善したい方にオススメです」

 

⑵ 健康食品を摂取するだけで、特段の運動や食事制限をすることなく、短期間で容易に著しい痩身効果が得られるかのような表示
例:「決して食事制限はしないでください。この○○○があなたのムダを強力サポート」
「食べたカロリーをなかったことに」
「一日たった3粒飲むだけで、楽に痩せることができました!」
「寝る前に飲むだけで、何もしなくても、勝手に痩せていきます」
「普段の食事を変えなくても、1か月で10kg も減りました」

 

⑶ 最上級又はこれに類する表現を用いている場合
例:「最高級ミネラル成分の配合により、絶対に痩せられます!!」
「最高のダイエットサプリメント!絶対痩せられる○○○サプリ!」
「血圧に作用するサプリメントの中で、日本一の品質です」

 

⑷ 体験談の使用方法が不適切な表示
例:実際には、体験者が存在しないにもかかわらず、体験者の存在をねつ造したり、体験者のコメントをねつ造する場合
例:実際には、食事療法や薬物療法を併用しているにもかかわらず、その旨を明瞭に表示せずに、健康食品を摂取するだけで効果が得られたかのような体験談を表示する場合
例:一部の都合の良い体験談のみや体験者の都合の良いコメントのみを引用するなどして、誰でも容易に同様の効果が期待できるかのような表示がされている場合

 

⑸ 体験結果やグラフの使用方法が不適切な表示
例:実際には、試験対象者がBMI の数値が25 以上の者に限定されているにもかかわらず、当該試験条件を明瞭に表示しないことにより、標準的な体型の者にも同様の効果があるかのように表示するなど、試験条件(対象者、人数、摂取方法等)を適切に表示しない場合
例:試験結果を示すグラフを極端にトリミング(スケール調整等)することにより、実際の試験結果よりも過大な効果があるかのように表示すること
例:実際には、複数の試験結果があるにもかかわらず、有意差の大きい試験結果のみを広告等において使用することにより、全ての試験結果において有意差のある結果が得られたかのように表示すること

 

⑹ 行政機関等の認証等に関する不適切な表示
例:「消費者庁承認済みのダイエット用健康食品です」
「○○外国政府機関も認めたダイエット用健康食品です」
「世界保健機構(WHO)許可」

⑺ 価格等の取引条件について誤認させる表示
例:「今月末までの限定キャンペーン!定期購入の初回分を無料で提供します!」と表示しているにもかかわらず、当該月末経過後においても、同様のキャンペーンを継続している場合
例:「通常3,000 円で販売している商品ですが、初めて申込みをしていただいた方には、特別に980 円で提供します」と表示しているにもかかわらず、実際には、当該商品を最近相当期間にわたって3,000 円で販売したことがない場合

 

以上のように健康食品の不当表示について具体的な例示がされています。ここで例示された文言だけを避ければ良いというものでは無く、用語のほか周辺に記載されているその他の表現、掲載された写真、イラストのみならず、時にはコントラストも含め、表示全体で判断することとなるとされており、事業者としては過剰な煽りにつながる表現を慎まなくてはなりません。

このガイドラインは健康食品に焦点を絞ったものですが、それ以外の商品であっても通用する解釈もあるため、ここで示された不当表示については行わないように徹底したいところです。

 

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